誤解が多い?南国と思われがちな九州の冬の天気
日本において「南国」と聞くと真っ先に連想するのは沖縄でしょう。九州も比較的暖かいと思っている方もいるかもしれません。しかし、九州は冬でも本州より暖かいと思い、しっかりとした防寒をせず旅行すると後悔する可能性があります。実際に行ってから「思っていたより寒い!」とならないためにも、九州の天気・気候について正確に把握しておきましょう。
東京とさほど変わらない北部九州の気温
九州は大きく分けて北部九州と南部九州に区分され、一般的に北部九州は福岡県、長崎県、佐賀県、大分県、熊本県の5県、南部九州は宮崎県、鹿児島県のことを言います。北部九州の天気の特徴として最大のポイントは、関東地方や関西地方などとほとんど差がないと言う点に尽きるでしょう。
実際、環境省がまとめた各県の平均気温を見てみると、1月は東京が4.7℃、大阪が5.6℃なのに対して、福岡5.7℃、佐賀5.0℃、長崎6.4℃、熊本4.9℃と、本州と同程度の気温なのが分かります。ちなみに沖縄は1月の平均気温が17℃と非常に温暖であるため、沖縄と九州を「南国」と言う言葉でひとくくりにするのが誤りであるのは間違いありません。
また、九州はイメージに反して雪が多い地域です。気象庁の過去30年のデータを見ると、福岡県では東京の2倍近く雪の降る日が多いことが分かります。そのため車での九州旅行を考えているのであれば、降雪対策は万全を期しておく必要があるでしょう。
南国の雰囲気漂う南部九州の気温
北部九州に比べ、南部九州は温暖な気候で知られており、宮崎県は野球のキャンプ地としても有名です。1月の平均気温は宮崎が6.8℃、鹿児島が7.0℃と北部九州や本州に比べ高いものとなっており、2月になると東京5.4℃、大阪5.8℃、福岡6.4℃なのに対し、宮崎は8.1℃、鹿児島は8.2℃と、より差が顕著になっています。とはいえ、沖縄に比べれば寒いのは間違いないため、旅行の際は防寒をしっかり意識しておいた方が無難です。
また、南国の雰囲気が漂う南部九州ではあるものの、定期的に大雪が降ることで知られています。2010年には強い寒気が流れ込んだ影響から、鹿児島県で25cmもの雪が積もったことが話題にもなりました。南部九州で雪が降る理由として、鹿児島県も宮崎県も海に面していると言う点があげられます。冬型の気圧配置が強まり流れ込んできた冷たい空気が、海面から発生する水蒸気によって湿った空気に変化することで、九州の西海上に大雪を降らせる雲を現れやすくするのです。
そのため、冬に南部九州の旅行を計画しているのであれば、雪に十分注意を払っておいた方がいいでしょう。もちろん、雪の南部九州も風情があり一見の価値がありますが、大雪の場合は交通に大きな影響を与え旅行計画を台無しにしてしまう可能性があるため、気象情報のチェックは必須といえます。
間部の気温には要注意!
北部九州は本州と気温がほとんど変わらず、南部九州は比較的温暖とご紹介しましたが、これらはいずれも都心部の気温となります。九州の山間部への旅行を計画しているのであれば、よりしっかりとした防寒対策が必要です。たとえば、大分県は瀬戸内海に面した温暖な地域とされていますが、由布岳の麓に広がる湯布院温泉は寒暖差が激しく、冬はかなりの冷え込みとなります。
山間部の寒暖差は春先まで非常に大きくなることが多いため、旅行の際はしっかり意識しておいた方が良いでしょう。また、山間部は都心部以上に雪が降りやすい地域です。仮に都心部が晴れだったとしても、山間部の名所に向かったら雪が積もっていたと言うケースは十分考えられるため、自分が向かう先の気象情報はこまめにチェックすることをおすすめします。
冬に九州を旅行するなら防寒はしっかりと!
九州には嬉野温泉や湯布院温泉など温泉の名所が多く、身体の温まるご当地グルメも多数あるため、冬に旅行するにはぴったりの地方といえます。ただし、トラブルなく旅行を楽しむためには、しっかりとした防寒が必要不可欠です。
普段東京や大阪でしているような防寒は九州でも必ずするようにして、山間部の名所に向かう予定があるのであればより万全な装備を整えてください。また、雪で交通が麻痺する可能性もあるため、九州だからと油断せずしっかり気象情報を確認するようにしておきましょう。